このような時代だからこそ、地域社会に安定した雇用と所得を提供する地場の中小企業を、見直し振興していくこともひとつの解決策ではないだろうか。地域固有の諸資源を活かした地場産業は、世界にも誇れるにもかかわらず一番気づいていないのが日本人なのかもしれない。
地場産業を振興すれば、(1)経済的な効果として、雇用促進、地域における他産業の活性化、PR効果等 (2)社会的な効果として、若年層の郷土定着、技術・技法(ノウハウ)の保存と蓄積、地域文化の向上等 があげられます。
日本企業固有の家族的な雰囲気の職場を、地場の中小企業はまだまだ持っています。勤勉さ、正確さ、清潔さ、忠誠心、礼儀正しさ、真面目、愚直、周囲への気配り、協調性など日本人固有の良さを発揮して、元気な地場の中小企業が全国に多数あります。
戦後日本経済の成長は、大企業しかも重厚長大企業が多大に貢献してきたことも事実であります。しかしながら、年末のある新聞の朝刊記事を見ると、 縮む地方の「城下町」(2011年12月 新聞朝刊)**県の**知事は、A社の拠点縮小をこう表現する。A社は、1966年に**市に進出。関連会社を含め、県内の製造品出荷額の2割、雇用の1割弱を占める。秋以降、補正予算で再就職の支援を始めたが、「企業城下町は地域の成長の王道だった。どう生き残るか難しい問題だ」と。
今日本は、次世代への発展に向けて大きな構造転換に直面しており、新たな産業の育成や雇用の創出が喫緊の課題となっており、地場の中小企業が活路を拓くのではないかと考えます。多様化が進み、特定の分野では世界的なシェアを占めるような「オンリーワン企業」や私たちが当たり前と思ってきた日本の様々な文化をソフト領域に取り込み国際的に評価されている「COOL JAPAN企業」も出てきております。
地場産業振興により地域を活性化することが、強く求められている時代になったのではないでしょうか。