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2012年12月号 江戸時代の’藩’に学ぶ

江戸時代の’藩’に学ぶ

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少子高齢化、人口オーナス等が共通言語となっている日本、2050年には、日本の人口は現在の約3/4に減少し、それに伴い生産年齢人口も半数以下に減少、高齢化率は、全国ベースでは40%に達することが予測される。首都圏にて仕事をしている時はまだしも、地方圏へ出張するたびに、いったいこの日本はどのような国になっていくのか、とても悩ましく思っている日々である。

 

今年1月号のコラム・レポートにおいて、「地場産業振興により地域を活性化しましょう」では、地域社会に安定した雇用と所得を提供する地場の中小企業を振興していくことの大切さを述べさせていただきました。そのために、地域内資金循環とか地産地消とか地域特産品等、自分たちができることからまずやっていく。山紫水明であるがゆえ地域ごと気候や風土も異なる地域の特色を活かすには、どのようなことが考えられだろうか。各地の地域金融機関や商工会議所等訪問していた時、あるひとつのヒントに気づきました。江戸時代の「藩」に準じた地域資源をフルに活かすことではないだろうかと。

 

そのような折、「藩」の勉強を始めたところ、株式会社三菱総合研究所さまが「21世紀型’藩’の提案」をされており大変感銘を受けたので、概略などをご披露させていただきます。なお本件に関して、社会公共マネジメント研究本部(鎌形執行役員プラチナ社会研究センター長、川村チーフ・プランナー研究主査、北井主席研究員)の方々には、ご多忙にも拘わらず懇切丁寧にご指導いただき感謝申し上げます。

 

 

「21世型’藩’の提案」

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・日本の人口減少は、地方圏ほど減少幅が大きく、同時に高齢化が進み、経済活力の低下、自治体財政の逼迫、生活利便の低下という「負のスパイラル」が懸念される。

 

・「負のスパイラル」から脱却するためには、’規模の縮小’と’疎’という2つの課題を克服し、「雇用・職の創出」と「生活サービスの改善」に取り組む必要がある。

 

・そこで、複数市町村が広域的に連携して、地域経済の規模拡大と居住機能や各種生活サービス機能の最適配置を進めることで、「雇用・職の創出」「生活サービス改善」「を実現し、人口流入をもたらす「正のスパイラル」へ転換していくことが必要となる。

 

 

・江戸時代の藩の長所に学び、地域の主体性と内外のネットワークを基盤とした、21世紀型の自律的地域経営システムである。広域的地域で’藩’を掲げ、財政、土地利用、産業振興などの一体的なマネジメントによって、地域資源・個性を活かした持続的な経済活性化と生活利便向上の実現を目指すものである。

 

①??? 地産地消型域内向け産業と地域特産品による移出産業(漆、藍、昆布、鉄、銅など)の戦略的組合せ

②??? 城下町への機能集積(政治、商工業、医療、教育、娯楽他)と計画的な土地利用(町割り)

③??? 地域の特色・個性ある教育システム(藩校、郷学、私塾、寺子屋)

④??? 多用な普請・相互扶助の仕組み(庶民の相互扶助、自治による自普請、町人・大店出資、集落構成員出資など)

 

・雇用・職の創出については、広域化によって活用できる資源を増やし、地域内の市場を拡大、域内取引を活発化させるとともに、地域外からのお金を稼ぐ産業振興に取り組む。

 

・地方圏は、自然資源・景観・環境、農業などの一次産業のストック、遊休地など、’疎’でるがゆえに残されてきた地域資源の宝庫である。

 

・農業、観光、再生可能エネルギーなど日本産業の成長分野への展開が期待できるのである。それを地域内で規模拡大し、6次産業化など戦略的に相互に連携させることによって、ビジネスチャンスは大いに高まる。

 

・後継者に苦労している伝統的な文化・芸能・技能も、こうした新しい文脈の中で再生していく可能性がある。

 

行政、民間が共に広域的目線にたって、改めて地域の産業および雇用創出に向けた資源の掘り起こしを行っていくことが求められる。特に、分野横断的、包括的に取り組むことによって制約は縮小し、可能性は広がると考えられる。

 

次世代が活躍できる環境づくりをすることは、行政や民間共に協力していくことが責務と考えるがいかがであろうか?

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