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2012年8月号 顔の見える金融

顔の見える金融

 

近年の世界的な金融危機を受けて、資本主義のあり方が見直されつつある。今般、アジア開発銀行主催するシンポジウム「資本主義の新しい潮流に向けて」に参加、日本の果たすべき新たな役割があると認識した次第です。これまでの金融の歴史を振り返れば、先進国から途上国への一方通行型の流れ、途上国が先進国に収奪され続けたということを認めざるを得ない。

 

当然ながら金融ビジネスの目的は、利益の追求である。しかしながら、社会的な問題しかも貧困層の方々が抱えている問題を、解決するビジネスモデルを構築したがグラミン銀行である。

 

2006年、グラミン銀行の創始者、ムハマド・ユヌスはノーベル平和賞を受賞した。グラミンとはベンガル語で「農村」をさす。グラミン銀行は、主に農村部の貧困層を対象にした融資を行っていることから、「貧者の銀行」とも呼ばれる。

 

グラミン銀行が導入した「マイクロファイナンス」は、貧困層を対象とした無担保融資を前提としています。貸し手と借り手の距離の近さがあるので、「顔の見える金融」とも言われている。お金を借りにきた人物を見抜くことができるので、高い返済率につながっています。

 

原丈人 デフタ・パートナーズグループ会長は、「現在のマイクロファイナンス」は資金に対するアクセスのみならず、市場に対するアクセス、職業訓練の提供をも含む「顔の見える金融事業」まで発展し、これを応用する国々はすでにほかのアジア、中南米、アフリカ諸国まで広がっていると発表しております。

 

世界の人口ピラミッドの底辺にいる約40億人のBOP(=Base? of? Pyramid)の生活支えるビジネスとして、積極的に取り組んでいる日本の企業も増えつつあります。「顔の見える金融事業」ならば日本の中小企業は、途上国支援の可能性を秘めており、パートナーとして貧困層の方々に役立つようなビジネスモデルを作り上げていけるのではないでしょうか。中小企業が持つ柔軟な対応力、技術力、マーケッティング力等が、いまこそ途上国は必要としています。

 

今までの資本主義のあり方を大きく変える動きとなっていくのは、もしかして日本の中小企業ではないでしょうか。

 

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