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2014年12月号 転換期のコーポレート・ガバナンス

転換期のコーポレート・ガバナンス

 

企業統治(コーポレート・ガバナンス)の強化は、安倍晋三政権が6月にまとめた新成長戦略の柱の一つである。企業統治改革のアイデアが出されており、その中小職が最も関心のある社外取締役にスポットを当ててみたい。株主の視点で経営を監督する社外取締役の存在は、極めて重要であると日頃から認識しているからに他ならない。一般論であるが、「コーポレート・ガバナンスが上手く機能している企業」は、企業再生の対象企業にはならないと考えられる。

 

経済産業省としては、「社外役員等に関するガイドライン」において、経営戦略の策定、投資・M&Aの実行、企業構造改革などの業務執行の重要な事項について、社内外での知見・経験を生かし、業務執行の過程で不可避的に生じる各種利益相反事象を含むリスクに対処し、企業価値の持続的な向上のため外部の視点から忌憚のない意見を述べることを求めている。

 

社外取締役の設置・数・構成比において、いろいろな意見がでてきており触れてみたい。

社長や役員の経験者が、他社の社外取締役に就くことにより、社外の視点や知恵を経営資源の一つとして捉え、競争力向上に生かせることができる。但し、その効果は、選任の目的と人選に左右されるのではないだろうか。

社外取締役を複数にする狙いは、取締役会などで意見を述べやすくして企業統治の効果を高めることにある。1人だと孤立しかねないが、複数なら連携して会社に情報提供を求めたり、社長に反対意見を述べたりしやすくなる。もっとも経営者の意識が変わらないと、社長の意見に何でも賛成するような社外取締役が増えるだけで終わる可能性があると危惧する。

取締役会などにおける業務執行に係る決定の局面において、一般株主の利益への配慮がなされるよう、必要な意見を述べるなど、一般株主の利益の保護を踏まえた行動をとることが求められている。

企業は、公共性や消費者重視の目線、コンプライアンス等にも配慮しつつ、将来を展望して多角的な視点で経営を考えていく必要がある。その意味では、さまざまなバック・グラウンドを持った社外取締役を迎えて、取締役会で経営戦略やビジネスモデルのありかたを議論することは基本的に望ましい。

 

いずれにせよ社外取締役が、ガバナンス改革に必要であることは変わらない。

では、どのような人物が社外取締役として望ましいのか考えられる人物像として、

①??? 会社役員として、企業不祥事の予防、再発防止等に努めていること。

②??? 会社経営の経験がある、又は経営について、理解していること。

③??? 当該企業および当該企業が所属する企業集団および主要取引先との間で、重要な利害関係又は親密な血縁関係がないこと。

があげられるのではないか。

 

ますます激化するグローバル競争において後塵を拝してきた我が国の企業にとって、コーポレートガバナンスを強化することが、再び競争力を取り戻すことに資することは、紛れもない事実でありガバナンス改革に期待したいものである。

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