2014年2月号 「南三陸大地を融かすプロジェクト」から学ぶCSRのあり方
2014年2月号 「南三陸大地を融かすプロジェクト」から学ぶCSRのあり方
ISO 26000(社会的責任に関する国際規格)に代表されるように、持続可能な社会の発展に向けて、あらゆる組織が自らの社会的責任を認識し、その責任を果たすべきとの考え方が国際的に広まっています。
とりわけ企業は、所得や雇用の創出など、経済社会の発展になくてはならない存在であるとともに、社会や環境に与える影響が大きいことを認識し、「企業の社会的責任(=CSR)」を率先して果たす必要があります。
CSRのひとつとして企業は、地域社会との良好な関係を構築し、良き企業市民として社会との対話と協調を図るとともに、社会の発展に貢献するよう努めることが求められています。
東日本大震災からもうすぐ3年を迎えますが、被災地はまだ復興の途上でありその取り組みは続いておあります。「3.11を忘れない」ようにする取り組みとして、あるガラス工芸作家の活動があります。この「南三陸大地を融かすプロジェクト」は、被災地における企業の社会的責任、貢献という観点からご参考になればとご紹介するものです。
震災後も様々な支援活動が行われる中で、表現者として何が出来るのかと自問自答する日々が続き、そのガラス工芸作家は荒野の様になってしまった故郷の大地を融かした心を繋ぐ素材としてのガラスを創る事こそ自分にできることと気づいたのです。
大地を融かすという意味は、自らの足元にある大地を新たな視点から意識し関係性を認識することで、その地の文化や歴史的背景等を再認識する事が、広義には地球環境を考察する契機になる表現を目指しているとのこと。
被災した土地を巡り、その地の砂をガラス化しガラスの玉を創り、各地の砂から創られたガラスの玉は、地域の方々と愛着の有る大地とを結ぶ心の架け橋に、手に取って地域の皆が携帯できる小さなモニュメントとなるガラスをつくる活動を展開いたします。
大地を融かし創るガラスは、被災した故郷(=南三陸)の大地の砂を地元の方に持ち寄ってもらい集めて創るガラス。持ち寄った一握りの砂から、故郷を地域を融かしこんだガラスの玉にして持ち帰ってもらい、手のひらに握る事の出来る故郷にと思っているとのこと。このガラス工芸作家のような、自分にできる社会貢献活動を被災地でしたいものです。
東日本大震災以前から企業の社会貢献の重要性が叫ばれている中、「3.11を忘れない。風化させない。」為にも、企業は持続的な社会貢献活動を行うことが大事ではないだろうか。