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2014年4月号 2014年春闘を振り返って ~岩盤を打ち破るドリル次第~

2014年春闘を振り返って

~岩盤を打ち破るドリル次第~

政府は昨秋、経済界や労働組合の代表らと政労使会議を設け、企業に賃上げを求めてきた。今春の労使交渉に、安倍政権が賃上げを求めていることがどの程度、影響したかについては、回答した58人の8割を超える経営者が政府の要請が影響した、と答えた。(2014年3月13日 日本経済新聞朝刊)

 

しかしながら賃上げは結局、企業の収益力次第であることを政府は認識すべきであり、甘利明経済財政・再生相は利益が増えているのに賃金を上げない企業には「経済産業省から何らかの対応がある」と述べたが、民間の賃金決定への干渉は慎むべきと大半の国民は思っている。

 

企業は事業を展開している国内外・地域の景気動向や製品の収益性などを総合的に判断して賃金を決めており、賃上げ要請より企業が成長力を高めやすい環境整備に力を入れる方が、賃金上昇の効果が期待できると思料する。政府は、まず「経済の好循環」をつくり出す条件をつくることこそ最優先課題である。

 

そのためには、経済全体では雇用吸収力が相対的に高いサービス産業を活性化することが必要であり、規制改革などを通じて、医療や介護、金融、通信、運輸等で新分野・新市場を創造していくことが求められる。

規制改革など成長戦略を強化し、事業再編の促進や人的資源の有効活用等、企業と経済全体の付加価値生産性を高めていきたくなる環境整備こそ重要である。

非正規労働者をどのように処遇していくのか、非正規を含めた全従業員の給与改善できる労働環境にしてほしい。

アベノミクス「第3の矢」である規制改革は、「既得権益の岩盤を打ち破るドリルの刃になる」と安倍首相は大見えを切っており、これからどのような「経済の好循環」をつくりだす対策が出されるのか真価が問われる。

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