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2014年6月号 ハラルマーケットにどう対応するかが鍵

ハラルマーケットにどう対応するかが鍵

 

イスラム教徒をターゲットとしたビジネスが注目を集めている。イスラム市場の最大の魅力は、人口が多く、しかも年々増加していることで、将来の可能性が高いことである。

世界には16億人以上のイスラム教徒がおり、世界の人口の4分の1近くを占めている。

 

そのハラルマーケット(ハラルとは、製造過程を含め、イスラムで禁止されている豚肉・酒類などを一切排除した食品、化粧品を指す用語)が注目されるようになっている背景には、人口の増加や経済発展以外にも、いくつかの要因がある。

 

第一は、日本が成長戦略の一環として農作物などの食品の輸出に積極的になっていることである。アジアを対象として食品の輸出を進める場合、当然ながらハラルの問題をクリアしなければならない。

第二は、日本へのアジアからの観光客が増えていることがある。政府の訪日外国人の拡大戦略があり、平成25年に日本を訪れた訪日客は過去最高の1036万人、特に中国や韓国、台湾の3か国・地域からが過半数を占めるが、近年は経済成長が著しい東南アジアからの訪日客が増加している。ムスリム人口が多いマレーシアは前年比35.6%増の17万人、インドネシアは同34.8%増の13万人がそれぞれ日本を訪れている。東京五輪が開催される平成32年(2020年)には、訪日客数をほぼ倍増の2千万人へ引き上げる政府目標があり、日本の「観光立国」化で経済活性化を図る狙いもある。今後、イスラム圏からの訪日客が増加の一途をたどることも想像でき、日本国内でのムスリム対応が急がれる。

 

海外において、ムスリムが多い東南アジアなどの経済成長を背景に、今後の収益機会を期待して食品メーカーや飲食店だけでなく、化粧品や医薬品などの幅広い業種の企業が商品やサ-ビスでの対応を進めている。

 

一方、国内において、ある外食チエーンは「ハラル」認証店にリニューアルして、ムスリムでも安心して日本食を楽しめるように配慮している。また関西国際空港は、祈祷室を3か所に増設も実施した。首都圏の大学の学生食堂においても、イスラム教の戒律に沿った「ハラル食」の提供を始めており、横浜国立大学、東京工業大学、早稲田大学、埼玉大学、神田外語大学等は、アジア各国からの留学生の増加に伴い、イスラム教徒に配慮した大学づくりが広がっている。

 

少子高齢化が急ピッチで進む日本、将来性に富むハラルマーケット、今後どのように対応していくのか、経営者はいま決断を求められている。

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