2015年 6月号 企業変革の成否を左右する企業風土
企業変革の成否を左右する企業風土
企業風土は、どの企業にも、固有の雰囲気、伝統、不文律、価値観といった企業独自の風土が存在しており、社員に認知された企業特有の思考・行動パターンのことと理解されている。暗黙のうちに共有されてきたルールや価値観で、比較的持続性があり、社員個々人のものの見方や考え方に強い影響を及ぼしています。
この企業風土が「正」に働くか、「負」に働くかは、その企業特有の体質の壁の存在にかかっているのではないでしょうか。
企業風土が「正」に働く場合として、顧客志向、社会貢献、人は財産、自分がアンカーという気持ちで働く、グローバルな視野、異文化の受容等があげられます。正に働く場合、人の心を大きく作用させ、自分への仕事への誇りをもたらし、その仕事の質を上げます。
一方、企業風土が「負」に働く場合として、指示待ち体質、セクショナリズム、評論家体質、硬直化した組織、時代や社会状況を見ようとしない等があげられます。負に働く場合、社員同士、部門間、本社と支社、日本本社と海外現地法人など、いずれもが互いにチームとしての結びつきと発想の自由度を欠き、チームが機能不全に陥り、その仕事の質を下げます。
その体質の壁で「負」を「正」にするには、トップの「不退転の決意」や「過去との決別」等企業を取り巻く環境への変化への対応、トップの思いや考え方がストレートに末端まで伝わる仕組みになっているかどうかが、成否を左右する鍵であります。
「正」の企業風土を醸成させるために、ひとつ提案があります。社会貢献価値という概念を導入してみてはいかがでしょうか。社会貢献価値は、社会が抱える社会的課題の解決に企業としてどれだけ貢献する取り組みをしているかであります。社会貢献価値は、直接的な売上向上にはつながらないものの、社会から受け入れられ企業のブランド価値に少なからず影響を与えます。企業のブランド価値向上や従業員のモチベーションの向上などに資するケースもある。製品サービスの品質や価格の差別化が困難になってきている時代では、こうした社会貢献価値が差別化の要素になり得ます。
持続的な成長と企業価値の向上は、企業風土にかかっていると考えさせられる今日この頃であります。企業風土を4つに分類したコラム(NRI発行「知的資産創造」2001年9月号)をご参考までに添付します。