金融NEWS・コラム

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2017年 4月号 金融機関に期待される人材とは

 

 

国内市場の縮小 、世界的な低金利環境の持続、フィンテック(FinTech)等技術革新を通じた新たな競争など、金融機関を巡る経営環境は厳しさを増している。いままでのように預金を集め、貸出をして利ザヤを取る。それだけでは、もはや銀行業は成り立たない。横並びで単純な量的拡大競争に集中する銀行のビジネスモデルは限界に近づいており、早く舵を切ることが喫緊の課題である。

 

金融庁としても、金融機関に対して新たなビジネスモデルの確立を促している。事業性評価を徹底させることで、担保や保証にばかり頼らず、取引先の事業内容や成長の可能性をきちんと評価し、融資や本業支援で地方創生を期待している。また、顧客本位の運営をすることで、質の高い金融商品・サービスで顧客の資産形成を助け安定した収益確保も期待している。地域経済を担う企業の成長なくして、金融機関の成長、あるいは健全性の維持は図れない。地元企業の成長と金融機関の成長は、ウィン・ウィンの関係でなければならない。

 

もうひとつの大きな変化は、金融を取り巻くテクノロジ-の進化が急速に進んでいることである。金融を意味する「ファイナンス(Finace)」と技術を意味する「テクノロジー(Technology)」を組みわせた造語のフィンテック(FinTech)である。主に、ITを活用した革新的な金融サービス事業を指す。特に、海外を中心に、ITベンチャー企業が、IT技術を生かして、伝統的な銀行等が提供していない金融サービスを提供する動きが活発化してきている。従来、フィンテックは家計簿アプリやクラウド会計など周辺分野にとどまっていたが、銀行の3大業務(融資、預金、決済)まで拡大してきている。

 

その環境変化は、来春の採用計画にも影響を及ぼしている。日本経済新聞社(3月21日朝刊)がまとめた2018年春の採用計画調査では、「理工系の大卒の採用計画が17年春実績に比べて、14.8%増えた。人工知能(AI)や自動運転、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」など、企業が急速に進む技術革新に対応しようとしている。」と報道されている。3メガバンクのケースでは採用計画(2017年春実績)は、三菱東京UFJ銀行 未定(1200)三井住友銀行 未定(1359) みずほフィナンシャルグループ 未定(1880)いかに金融環境が激変していることが窺える。

 

同日の新聞記事に、三菱東京UFJ銀行は4月から、住宅ローンの新規契約で、署名や実印の代わりにマイナンバーを使えるようにする。マイナンバーカードを読み取る装置を使えば、自宅のパソコンで契約を完了、書類提出や対面手続きの手間を省ける。銀行がマイナンバーを金融取引に使うのは初めてであり、銀行の採用基準も変更していくと思われる。

 

金融庁の金融モニタリング有識者会議報告書のよれば、マクロ経済等の大局観、事業再生の基礎知識、地域・地域金融機関の歴史の理解、信頼関係の構築力などを有する人材の育成・確保を期待している。加えて、ブロックチェーン(分散型台帳技術)、人工知能、ビッグデータの金融サービスへの活用、サイバー・セキュリティなど新しい重要課題について、知見を蓄積し、人材を育成・確保していくための戦略をもつことも期待している。旧弊にとらわれず、改革ができる人材の育成・確保を願うばかりである。

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