金融NEWS・コラム

NEWS / COLUMN

2018年8月号 人口動態を踏まえ人材開国になること

総務省が7月11日発表した住民基本台帳に基づく2018年1月1日時点の人口動態調査によると、日本人の総人口は1億2520万9603人で、9年連続で減った。前年から37万4055人減り、減少幅は1968年の調査開始以来、最大。15~64歳の生産年齢人口は初めて全体の6割を切った。外国人人口は過去最多の249万7656人で前年比7.5%増えた。出生数は94万8396人で、1979年度の調査開始以来、最小。死亡者数は134万774人で過去最多だった。出生数より死亡者数が多い自然減は11年連続で、その幅は39万2378人と過去最大となった。

 

主な働き手となる15~64歳の生産年齢人口は7484万3915人。全体の59.77%にとどまった。人口減少時代に伴い生産年齢人口減少が続く中、外国人労働者の活用は欠かせない。全国のセブンーイレブン・ジャパンで働く外国人は全従業員の7%にあたる約3万5千人にのぼる。小売りなど人手不足の業界は外国人労働力で成り立っている。

 

日本としては、外国人と共生する覚悟や選ばれる知恵と受け入れる覚悟を醸成するにとどまらず、成長力の維持・向上の観点からさらに多くの人材を受け入れるべきだ。外国人を対等な立場で受け入れ、社会の多様性を生かす知恵が問われている。他の先進国や新興国と人材を奪い合う構図が年々強まる公算が大きいので、日本に来る優秀な外国人を増やし、働いてもらうには、待遇を改善するなど「選ばれる国」にする努力が要る。

 

 

(政府の対応)

政府は建設や農業、介護など5業種を対象に19年4月に新たな在留資格を設け、25年までに50万人超の受け入れを目指す。外国人労働者の受け入れ拡大を検討する関係閣僚会議を発足。単純労働を含め幅広く外国人材に国を開く歴史的な政策転換。人口減少時代の自治体行政の検討に着手。2040年ごろに自治体職員は今の半数になり、都道府県―市町村制は現行のままでは立ちゆかないとして再設計を試みる。複数市町村による「圏域」を実質的な「第3の自治体」と位置づけ、都道府県の役割の見直しや行政を補う「共助」の制度化も探る。

お問い合わせ

TOP