金融NEWS・コラム

NEWS / COLUMN

2018年10月号 相次ぐ自然災害への対応

9月4日に観測史上最大値を記録した台風21号による暴風。その被害は、近畿から北海道におよび、その後の北海道胆振東部地震と併せて、日本列島を自然の猛威が襲いました。

このたびの自然災害で被災された皆さまに謹んでお見舞い申し上げます。皆さまの安全と一日も早い被災地の復興を心からお祈り申し上げます。

 

2011年3月11日、三陸沖を震源とする大地震が日本史上・世界最大級の規模で発生、東北地方の太平洋沿岸を中心に東日本大震災を引き起こした。今般、東日本大震災で得られた知見を積極的に国内で共有していくことが重要です。

東日本大震災の復旧・復興需要の顕現に係るリスクとして、被災地域での公共工事の入札において、参加者がいない等の理由で開札に至らなかった「不調」が急増したことがあげられます。国土交通省は、原因が①「技術者の不足」と②「実勢価格の予定価格との乖離」にあるという認識の下、①「被災地域内の建設企業が被災地域外の建設企業との共同で受注できる「復興JV」(被災3県での復旧・復興建設工事における共同企業体)制度の創設」および②「実勢価格を反映した公共工事設計労務単価の設定」を柱とする「復旧・復興事業の施工確保対策」を打ち出しています。。

復旧、復興に当たっては、短期の支援に加えてかなり長期にわたる取組みも必要であります。政治的に光の当たる課題や、政策の実施がより容易である分野にのみ資源が配分されるというような「歪み」に対して留意すべきであり、「忖度」することなく国全体としての「バランスのとれた配分」が必要であります。

 

また、企業サイドにおいても阪神大震災を日銀の神戸支店長として経験し、緊急対応から復旧・復興の初期までかかわった際、「災害対応で最も重要なのは事前のマニュアルと日ごろの訓練、社員への心配り、トップの責任の自覚の3つである。形式主義に陥らぬよう、組織が何のために存在するか、トップが日ごろから明確にしておくことが大切だ。街の賑わいを取り戻す経済的復興こそが大事で、国だけでなく企業も発想を変える必要がある。(遠藤勝祐 元日銀神戸支店長)」と述べておられます。

 

これからの企業経営において、自然災害を含めたリスク管理として事業継続計画(BCP)は、被害を最小限の抑え、最短で復旧させることを目指す計画で、①災害時の指揮系統の明確化 ②バックアップ拠点の用意 ③代替する生産拠点や仕入れ先の確保 などが主な柱とした修正版の策定が急がれます。

お問い合わせ

TOP