2018月6月号 産業構造の変化とパラダイムシフト
日本は、いま経済や人口が右肩上がりであった時代から、低成長と人口減少の時代に変わってきている。また、我が国の産業構造の変化の動きとして、経済活動GDP(産業別GDP)(出所 内閣府:国民経済統計)統計で、各産業が生み出した付加価値のシェアをみると、サービス業と製造業のシェアが逆転している。経済のサービス化が一段と進展するとともに、製造業のシェアは長期的な低下傾向に歯止めがかからない状況にある。
最近の製造業の海外シフト生産は、労働集役的、低付加価値的な製品だけでなく、研究開発などの高付加価値部門にも及んでいる。日本経済を支えてきた製造業は、生産性の向上により雇用吸収力が低下したことや生産拠点の海外シフトなどにより、就業者は減少傾向にある一方大きく増加しているのがサービス業である。
雇用は製造業からサービス業へのシフトがさらに続く。グローバル化の進展とITの進化はさらに進み、その動きは若者、女性といった働き方に影響を与える。同時に、サービス業においてもインターネットを利用した企業の海外アウトソーシングにより、コンピュータープログラマーなど電子送信で仕事ができる職種でも雇用の海外移転が進んでいる。
こうした製造業の海外生産シフトあるいは企業のアウトソーシングなどによって、結果的に国内に残る雇用は、直接的に人と人がかかわる対人サービスが中心になってくる可能性が高い。サービス業の生産性を高めていくことこそ、日本の大きな課題である。
そのための対策として、
- ミドル層の学び直しが大事である。いまの企業にとどまって活躍するためには、これまで得られなかった知識を学ぶことが必要である。
- 若者の新たな価値観として、社会貢献の意識が高まっていることやあえて地域にとどまり家族や親族と生活を共にするケースが増えているので、毎年1回社員の置かれている家族構成等の意識調査を実施するなど配慮した人事政策が望まれる。
- 多様性という観点からも、外国人留学生のおかれた立場に注目し、日本企業の中には、新卒採用として数年日本で業務を経験したのち、母国に赴任して活躍するケースがある。
いずれにせよ、過去の成功体験にしがみつくことなく、少子高齢化や人口減少によって起こる大きな変化にきっちり向き合うことが大切である。