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2019年12月号 CASEが促す系列の変容と解体

10月下旬、立て続けにCASE時代到来の記事が発表され、自動車業界の業界構造がどのように変わっていくのか、いよいよ最終局面に来たという印象を持った。

10月22日 日本経済新聞(朝刊)―――完成車メーカーを頂点とする日本の「ケイレツ」が一段と姿を変える。トヨタ自動車グループの主要16社と取引のあるサプライヤー約4万社を調べたところ、ソフトウェア会社がエンジンなど既存の部品メーカーを初めて上回った。後押しするのは自動運転や電動化といった「CASE」の大波だ。日産自動車がコスト削減を狙い約20年前に解体に踏み込んだ系列の仕組みは、デジタル化を背景に新たな地殻変動に直面する。

10月31日 日本経済新聞(朝刊)―――日立製作所とホンダは、傘下の自動車部品メーカー4社を統合し新会社を設立すると発表した。売上高ではトヨタ自動車系のデンソー、アイシン精機に次ぐ国内3位に浮上する。世界の自動車・車部品各社は、自動運転などの次世代技術「CASE」の対応を迫られている。研究開発費に回す資金力に乏しい中堅メーカーは規模拡大を迫られ、系列解体が一段と加速している。

 

CASE(つながる:Connected 自動運転:Autonomous シェア:Shared&Service

電気:Electric)時代には、クルマの価値観は激変する。自動車は業界構造が変わり、コンピュターのようにハードとソフトが分かれるかもしれない。その中で、いかにデータを取れる位置にいるかが勝負を決める。

 

すでに実用化されてつながる車では、車外との通信や車の状況を把握するセンサーが装備され、世界の自動車メーカーやIT(情報技術)大手が開発を競う自動運転の分野では、道路状況の把握や運転制御に膨大なソフトウェアと電子部品が必要になる。ソフトウェアや電子部品に強い企業は自動車メーカーとの取引を拡大するチャンスになる。半面、電気自動車(EV)ではガソリンタンクが不要になるなど既存の部品メーカーの一部は淘汰にさらされる。

 

加えて、モビリティ産業の新規領域としての、モビリティサービスプロバイダー、サービスソリューションプロバイダー、次世代自動車用システムインテグレーター、次世代自動車用キーモジュルサプライヤー、次世代自動車用キーデバイスサプライヤーもコンペティターとなる。自動車会社が生き残るためには、自社で制御系をはじめとするエレクトロニクス系やソフト系のエンジニアを採用して自社で人材を囲い込むあるいはアライアンスを組むかということを選択しなければならない。産業構造の大転換を完成車メーカーやそれに連なる部品メーカーはどう生き残るのか。自動車産業のあり方が根底から変わろうとしており注視していきたい。

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