2019年8月号 地の利を活かし飛躍するカンボジア
いまや、南部経済回廊の中心であるカンボジアは、絶好調と言われており現地視察をしてみました。カンボジアの経済概況としては、
- 安定的な政情と持続的な経済成長にて、カンボジア経済のエンジンである縫製品輸出及び観光は好調が続いていること。
- 2019年の成長率は6.8%、2020年6.7%とIMFは予測していること。
- ADB(=アジア開発銀行)はカンボジアを「アジアの新たな虎」と高評価していること。
- 安価な労働力が豊富であり、ASEAN先発国に比べ賃金は低水準であること。
- 人口構成では若年層が多く、中長期的にも生産年齢人口は増加していく見込みであること。
- 地の利を活かした分業拠点としての期待でき、バンコック(タイ)プノンペン(カンボジア)、ホーチミン(ベトナム)を結ぶ南部経済回廊の中心に位置し、地理的に優位であること。
- 南部経済回廊は、大メコン圏(GMS=Global Mobility Service)・フラグメンテーション・雁行的発展等にてポテンシャルは無限であること。があげられます。
今回は、物流業の日本通運さんと商業施設をもつ小売業のイオンさんについて感想を述べてみたい。
カンボジア日本通運は、プノンペン経済特別区(SEZ)に新倉庫を建設中であり、SEZは首都プノンペン市内より18㎞、プノンペン国際空港より8㎞、物流拠点として好適な立地にあり、日系企業を含め約90社が進出しています。同SEZは、GMS(大メコン圏、:タイ・カンボジア・ラオス・ベトナム・ミャンマーの5か国と中国雲南省及び広西チワン族自治区にまたがるメコン川流域の総称)の南部経済回廊上に位置しており、同地域での航空・海運フォワーディング、国内販売物流、製造物流(ジャストインタイム納品)、クロスボーダートラック輸送、空調施設を利用した保管・配送などあらゆる物流ニーズに応えることができるものと思料します。カンボジアの物流革命の一躍を担うことでしょう。
イオンさんは、戦火で荒廃したカンボジアにおける学校建設や大規模な災害時に支援活動などに長年取り組んでいます。2015年の国連サミットにおいて、グローバルな社会問題を解決し持続可能な世界を実現するための国際目標であるSDGsを意識していることが、カンボジアに受け入れられているのでしょう。
今回は、イオンのカンボジア2号店「イオンモール セン ソック シティ」を視察しました。イオンモール周辺では、高級住宅を含む居住施設の開発を進めていることから、今後益々発展し集客が期待できる立地条件にあります。環境テーマは「森」。「ウォーターパーク」、「アクアリウム」、「室内遊園地」、「シネマ」、「ボーリング場」、「コンサートホール」、「TVスタジオ」「ゲームセンター」等を備え、カンボジア最大のアミューズメントコンプレックスを提案しております。「パスポート発行センター」「IDカード発行センター」「運転免許更新所」など行政機能を備えた利便性に高いサービスも提供しております。基本商圏は、10㎞圏、約34万世帯、約174万人であることから、スマートシティを先取りしている感があります。すでに、イオンモール3号店が2023年オープン予定されています。
最後に、バブル期の日本のような一面には懸念することがあります。
- 外資系やマイクロファイナンスにより、確かに生活水準は向上していますが家計債務が急拡大していること。
- 中国の一帯一路政策もあってか、中国資本が色濃く影響したオフィスビルや高層マンションが多いこと。
- チャイナプラスワンとして、タイやベトナムに次ぎ大メコン圏のポテンシャルは予測しがたいこと。
ベーシックな経済発展をすることで、金融・インフラ・法律制度不足等の課題が解決され、ますます魅力あふれたカンボジアになることを期待しています。