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2020年6月号 新型コロナウィルスが鉄道会社に及ぼす影響

新型コロナウィルスは、公共交通機関として国民生活や経済活動を支える重要なインフラである鉄道会社に多大な影響を与えています。多くの人が在宅勤務をして、会社に行かなくても仕事ができるということになれば、鉄道利用者が減ってしまいます。鉄道事業の苦戦のみならず、鉄道各社が進めているホテル、流通、不動産など非鉄道事業も外出自粛で大きく落ち込んでいます。また、新幹線は多くの需要が見込める大都市間を結んでいるだけに乗車率が高く、JR各社の大きな収益源となってきました。しかし、出張や観光の利用がメインであり、利用者の落ち込みが厳しくなっています。

 

いま、JR東日本など鉄道会社が未曾有の事態に直面しています。試算ではJR東日本の鉄道事業が約3割の減収になると連結営業利益がゼロになります。鉄道会社は景気変動に左右されにくいディフェンシブ銘柄のはずだったが、先行き懸念が強まっています。(日本経済新聞 4月21日付朝刊)

連結営業利益がゼロになる各社の減収率(日本経済新聞 4月21日)

略称 鉄道減収率 減収による営業減益額
JR東日本 3割 1,440億円
JR東海 6割 2,060億円
JR西日本 3割 660億円

 

 

鉄道会社は、車両の運用として、列車が終着駅に到着すると、別の列車となって折り返すために、ダイヤ調整が難しいという鉄道特有の事情があります。また、車両使用料についてもJR東海、JR西日本、JR九州車両それぞれが互いに乗り入れています。鉄道は、駅や線路は自社所有で、運行本数を減らしても保守点検などの費用は変わりません。

 

そのような環境下、JR東海は、5月7日に「東海道新幹線 今後の運転計画について(5月11日以降)」公表したが、その内容と公表から実施までわずか4日間に大変驚きました。

・「のぞみ」号の運転本数を見直し、当面の間、1時間あたり3本程度を運転します。

・「ひかり」号、「こだま」号は引き続き全ての定期列車を運転します。(1時間あたり「ひかり」号2本、「こだま」号2~3本)

 

鉄道各社は、雇用調整助成金の活用を検討していることを勘案すれば、従来のビジネスモデルそのものも見直し、いかにニューノーマル(新常態)に対応していくか注視したいものです。

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