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2020年2月号 知られざるマンダレー 開発進むミャンマー第2の都市

「アジア最後のフロンティア」として注目を集めてきたミヤンマー。マンダレー市は、ミャンマーの中央に位置し、ビルマ最後の王朝が存在した都市である。マンダレーは、中国とインドをつなぐアジアの東西回廊上に位置し、外国企業の進出を期待してマンダレー・ミョータ工業団地の開発が進んでいる。そのビッグプロジェクトの構想力に驚かされつつも、将来どのように変わっていくか楽しみにて注目したい。

 

ミョータ工業団地は、開発予定の総面積が4,400ヘクタールと、ミャンマー最大級の規模になっている。マンダレー・ミョータ工業開発社(MMID)が開発しており、シンガポールのSingapore Institute of Planners(SIP)がデザインを担当している。最終的には、基礎産業のほか、伝統産業、ハイテク、サービス業などを誘致し、学校・病院・ホテルなどを有する、25万人が居住する一大工業都市となる計画である。

 

ミョータ工業団地の最大の強みは、ミャンマーの物流ハブであるマンダレーに直接距離で58キロと近いことである。マンダレーは、アジアハイウエイ1号線、2号線、14号線の途上に位置する。また、中国=ミャンマー国境(ムセ)からインド洋(チャオピュー深海港)を結ぶ道路と、マンダレー=ヤンゴンを結ぶ道路の交差上にあり、物流の要衝となっている。陸路輸送では、南下すれば首都ネピドーを通ってヤンゴンに到着し、北に行けば中国、東に行けばタイ、西に出ればインドへと出荷可能であり、この地理的優位性を生かした物流ハブとしてのポテンシャルが高い。

 

マンダレー空港も、同工業団地から33.5キロ、車で1時間程度の距離である。現在、ミョータ工業団地から同空港へはバイパス道路の整備が行われており、その道路はヤンゴンーマンダレー高速道路へもつながる。完工すれば、空港までの時間は20分に短縮される。

 

水上輸送については、工業団地から17.8キロの距離にエヤワディ川のセミコン港がある。同港は、MMID社が2017年4月から整備しており、完工すれば、ヤンゴン港まで5日かかっていた輸送が2.5日に半減する見通しである。エヤワディ川は満潮と干潮の差で水深10メートルの差が出るため、フローティング・クレーンが導入されている。

 

ヤンゴンなどへの国内輸送、中国・タイ・インド向け輸送で便利な立地に加え、工業団地内インフラも比較的良好かつ、土地リース価格・税制上も競争力がある等にて注目されつつある。最近になって、複数の日本企業が工場の建設候補地として訪問しているほか、米中貿易摩擦の影響で、中国に工場を持っていた中国企業や欧米企業が視察に来ている。輸出加工メーカー、農産品加工・食品メーカーのほか、地理的な優位性を利用した物流企業・商社などを中心に今後も同工業団地へに入居が進みそうである。

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