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2020年4月号 コロナウィルスとSDGsによりグローバルな生産・調達体制を転換

新型コロナウィルスによる肺炎の感染拡大が中国の製造業を直撃した。湖北省の武漢は、政府が進めるハイテク産業支援策の最前線として、大河川の長江と漢江の合流地点に位置する中国内陸部の交通の要衝で、自動車産業などが集積しています。この地域の物流が滞れば中国全体の生産が低迷し、世界貿易が縮小するリスクが高まります。

これまで中国における大規模集中生産は、コスト削減のみならず電子部品や機械部品は高度化や精密化しており、中国にしか作れる工場がないことにも起因しております。コロナウィルスにより中国及び周辺アジア諸国に生産拠点が集中するリスクが明白となり、製造業は「大規模集中」から「小規模分散」へ転嫁することも選択肢として考えられます。中国集中からグローバル分散に動いてくる可能性が出てきました。

今まで通りに中国に生産を集約しグローバル・サプライチェーンで各地に供給することは、物流能力の限界もさることながら、感染症、大地震、洪水などの自然災害、戦争、大規模テロなど大きな影響を受けるリスクを回避できません。結果として、顧客に近い場所で生産すれば生産リードタイムを縮め、在庫も減らせる「リーン生産」が望ましい業種やケースもあり得ますから、生産・調達体制の転換をしていくきっかけになります。

 

加えて、持続可能な世界を実現するための17の目標と169のターゲットから構成されている国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を経営軸にしていくことが求められてる環境になりました。それらは、世界の人々全ての貧困・飢餓撲滅、健康福祉の増進、教育普及、ジェンダー平等、国内・国際格差の是正、経済成長、産業と技術革新の基盤整備などの達成目標・ターゲットを具体的内容や数値で示しております。

人件費というコスト削減することでの生産拠点シフトとといったこれまでのグローバル戦略についても、そのマイナスの影響を受ける国の新たな産業活動の創出・雇用の確保などを合わせて考えないと、企業にとって価値創造活動の社会的かつ経済的な信頼そのものが崩れます。同様に、労働そのものをロボット等に代替することにより、失業した労働者の技能向上や再就職の確保などをしなければ持続的な企業価値の増大を見込めません。

教育と職業訓練でチャンスをつかみ取ることで、所得を向上させ貧困から抜け出すこともできます。人々が知識や技能を身につけることでは、自分で考え、行動し、リスクを避け、様々なチヤンスをつかみ取るためには重要です。質の高い教育や職業訓練を誰もが受けられるようになれば、働きがいのある職を得ることができ(SDGs目標8)、仕事の効率や生活を飛躍的に便利にする技術やサービスを生み出す(SDGs目標9)こともできます。

労働者一人ひとりが、将来に向けて自分自身の生涯設計が描けられるような職場環境を整備することが求められておりコーポレートガバナンスは、あらゆるステイクホールダーに応えられることが大事になってきます。

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