2023年12月号 人手不足にどう対応するか
少子高齢化が進む中で必要な社会機能を維持するため、政府はこの問題を国家に危機と位置付けて多角的な対策を進めなければならない。働き手の総数は高水準なのに足元で人材不足感が強まったのは、働き盛りの25~44歳の就業者が減っているからである。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると、20年に7509万人だった15~64歳の生産年齢人口は40年に6213万人まで減少する。人手不足問題が深刻なのは、今の厳しい状況がほんの「入り口」にすぎないということである。
一方、人手不足の深刻化で外国人材の存在が増している。厚生労働省によると、外国人労働者は2022年10月末時点で約182万人。10年前の2.7倍に増えた。生産性を高め日本国内で賃上げを進めなければ人材確保はおぼつかなくなる。
政府として、これから打てる対策をすぐに実行していかねばならない。
対策1:中期的な人手不足を克服するには働き方の自由度を一段と高めなければならない。副業も業務に支障がない限り認める必要がある。社外で働くことで新たなスキルが身につき、将来のキャリア選択でも可能性が広がる。副業や学び直しがしやすいように週休3日制の導入も検討すべきである。
対策2:主要7か国で最低水準にとどまっている労働生産性の向上は喫緊の課題である。
社会全体でも人材の流動化を高め適材適所を図るべきである。転職しやすい柔軟な労働市場に変えるのは政府の重要な役割である。政府はリスキングや労働市場の改革で円滑な労働移動を支援することである。業務のあり方を根本から見直し、働き手に能力を最大限に発揮してもらう必要がある。企業は社員が新たな職務に就けるよう学び直しを支援することが重要である。
対策3:外国人労働者の受け入れ拡充である。労働者として差別しないことはもちろん、教育など子育ての環境も整えて、「選ばれる国」にしなければならない。職場のみならず、生活する地域社会でも外国人が共生できる教育や福祉の基礎づくりが急務である。外国人に日本語教育が行き届かないのは、自治体やNPO任せにしてきたためである。
相変わらず現実を直視して課題解決しない政府、問題先送りの政府だからこそ「いまやる」「すぐやる」「できることからやる」、今の日本に躊躇している時間はないのである。