2024年2月号 ネパール研修旅行を終えて
1.ネパールについては、1899年大阪堺の仏僧河口慧海が、日本人として初めてネパールに入国。同人は、時のネパール首相に対し、道路建設、植林、学校建設など各種国造りのアドバイスを行い、今日の両国関係に礎を作ったのである。
2.ネパール概要について
(参考)「図説ネパール経済2023」 在ネパール日本国大使館より引用
①地政学的な重要性
インド・中国両大国に挟まれた内陸国。伝統的に非同盟中立。インドとは、経済的・文化的に結びつきが強い。中国とも有効な関係を維持。
②人口:3054万7580人(2022年 世銀)
面積:147,000k㎡ 北海道の約1.8倍
③ネパール経済
・GDP成長率は、5.6%(2022年 世銀) 主要産業は、(1)農林水産業(GDPの23.9%、就労人口の64%が従事) (2)卸売業 (3)不動産業
・出稼ぎ労働者からの海外送金が多い(GDP比は20.8% 推定値)
④海外からの直接投資
・202/22年度までのFDI(海外直接投資)額において、対ネパール最大投資国は、中国2,166億ルピー(51.7%) 次いでインド1,010億ルピー(24.1%)である。日本は、第10位34億ルピー(0.81%)である。
・主な投資分野としては、エネルギー業31.1% サービス業22.9% 観光業21.6% 製造業16.5% である。
⑤貿易
・2021/22年度貿易額は、輸出2,000億ルピーに対し、輸入1.92兆ルピー(輸入が輸出の9.6倍)である。
・主な輸出品目は大豆油、糸、ウールカーペット、ジュ-ト製品、カルダモンなどである。最大輸出国はインドで、全体の輸出額の77.6%を占める。
・主な輸入相手国は、インドが62.5%を占め、次いで中国が13.8%である。
⑥海外出稼ぎ労働者数は599万人で、マレーシア、カタール、サウジアラビアなどが主な出稼ぎ先の国となっている。
3.ネパールとの関係について(私見)
・日本とネパールとの関係は、良好であるが多くの支援が必要と認識するものの、インドや中国との関係もあり慎重に対応していくことが肝要である。
・いまネパールは、LDC(後発発展途上国)であるが、途上国が最先端技術を導入することによって、既存技術で成長を遂げてきた先進国よりもさらなる発展を遂げるリープ・フロッグ現象(leapfrogging)は、難しいと思料する。
・なぜなら、社会インフラ整備(道路・鉄道・港湾・治水施設・公園等)がまだまだ整備されていない。
・日本としては、JICA(独立行政法人国際協力機構)や日本大使館等と関係を密にして継続的に支援していく一方、民間レベルにおいても農業・エネルギー・観光等にまず注力して支援していくことが大事である。
最後に、日本に留学した経験を活かして、20年以上にわたり女性の経済的自立を目指して就業支援、農業支援、IT技術教育、日本語学校などの活動範囲を広げている女性が、ネパール国の草の根運動を展開していることにただただ驚き、いまも強く深く印象に残っている。